イギリスのウェディングフォトグラファーで
フジフイルムのXフォトグラファーとしても活躍中の
ケヴィン・ムリンズ氏にインタビューしました♪

今回は、ちょっと自分のウェディングフォトを離れて

イギリスと日本のウェディングフォトの懸け橋となるべく、ライターに徹して記事を書きますね^^

I visitied Kevin in Malmesbury, Summer 2013

 

1)ウェディングフォトグラファーになったきっかけは何ですか?

結婚式を撮影するようになったのはほんの偶然からです。

友人の結婚式に参列した時に何げなく撮った写真を友人達が気に入ってくれたことがきっかけでした。

2008年、ロンドンから郊外へ引っ越したことを機に、(※それまで本業だったコンピューターのSEの仕事を辞めて)ウェディングフォトグラファーを本業にすることに決めたのです。

本当に良い決断だったと思います。

2)大体、毎年何件のウェディングを撮影しますか?

以前は年に40件くらい撮影していました。

現在、私は8月を丸々家族と過ごす夏季休暇にすると決めているので、だいたい年平均35件くらいの結婚式を撮影しています。

3)主な集客方法を教えてください

以前は、検索、SNS、お客様からのクチコミでしたが、近年はインスタグラムからの集客が増えました。

今年は既に6件がインスタからの集客です。

たいした数じゃないようにみえるかもしれませんが、35件中の6件(約全体の20%)と考えるとかなりの割合だと思います。

※筆者注:前職がSEだったことからも分かるとおり、ケヴィンは写真の腕はもちろん、オンラインでの集客やブランディングがズバ抜けて得意だということも、ウェディングフォトグラファーとして成功している重要なポイントだと思います。かなり前から「ウェディングフォトグラファーの仕事の80%はコンピューター作業だ」と言っていたのが印象的でした。見た目はアナログだけど中身はデジタル…つまり「超モダン」なフォトグラファーなのです。そこが、ウェディングフォトでいち早くXフォトグラファーに選ばれた所以でもあるのでしょう。

4)愛用の機材を教えてください(2017年6月現在)

◆カメラ
X-Pro2(※ミラーレス一眼レフ)
X100F(23mm(35mm判換算:約35mm相当)コンパクトカメラ)
X70(18.5mm(35mm判換算:約28mm相当)コンパクトカメラ)

◆レンズ
35mm 1.4
60mm 2.4 (macro)
そして、最新の50mm f2

◆編集ソフト
Photomechanic(※RAW現像ソフト)

◆その他
UPstrap(※アメリカ製のカメラストラップ)

5)ウェディングフォトグラファーとして成功するために最も大切なことは何だと思いますか?

お客様は本物のプロを求めているのだということを肝に銘じて、本当に自分が撮りたい/撮るべきだと思ったものだけを撮り、確信の持てないものは撮らないという毅然とした姿勢がとても重要だと思います。

要するに、自分自身のスタイルをしっかり確立さえすれば、それを人がとやかく言うことはないでしょう。

※筆者注:ケヴィンのウェディングフォトは全てドキュメンタリーで統一されており、ツーショットやグループショットは撮影しない主義です。カメラ目線の写真もまずありません。お客様から打ち合わせでツーショットやグループショットの撮影をリクエストされたら、まず「お薦めしない」理由を説明し、それでも欲しいと言われたら撮影はするけれど、絶対に自分のサイトには掲載しません。そうやってケヴィンは自分のウェディングフォトのイメージを確立(コントロール)しています。ここまで徹底的にドキュメンタリー・ウェディングフォトにこだわって(成功して)いるのは、世界中でもケヴィンくらいでしょう。

6)ウェディングフォトグラファーになって良かったと1番に思うことは何ですか?

家族と一緒に過ごせる時間が多いことです。
週末であろうと平日であろうと、自分で自分の時間を作れるところが良いですね。

7)イギリスのウェディングフォトグラファーが直面している最も深刻な問題点は何ですか?

沢山のフォトグラファーが、仕事を得るために余りにも安い料金で仕事を請けている点です。
フォトグラファー自身にとっても、ウェディングフォト市場にとっても非常に悪い現象です。
自分で自分の首を絞めるだけでなく、雑誌や商用ブログや、他のフォトグラファーの価値にも悪影響を及ぼしている、本当に厄介な問題です。

さらに近年では、複数カメラマン体制で何千枚もの写真を撮るよう要求するお客様がイギリスでも増えました。

この「アメリカ式」流行に便乗しているフォトグラファーもいますが、それを以前と変わらない料金で請けるのは、先の件と同じく「安請け合い」という点で危険なことです。

8)あなたの個性とは?

「写真力」…だと思いたいです。

私は、「絶対非演出の絶対スナップ」(※筆者注:土門拳の有名な言葉ですが、まさにケヴィンにぴったりです)タイプのウェディングフォトグラファーであり、多くの作品をモノクロで撮影しています。

演出(ポージング)は一切行ないません。そのため、お客様は私に邪魔されることなく、100%リラックスして結婚式の1日を満喫できるのです。

それが、私の写真の秘訣です。

9)日本のウェディングフォトには興味がありますか?
※偏りを避けるために私個人のではなくJWPAのサイトの感想を聞きました

正直、これまであまり観たことはありませんでしたが、何枚か、圧倒的に心惹かれるものがありました。

10)イギリスと日本のウェディングフォトに違いを感じますか?

日本では、いわゆる「伝統的」なウェディングフォトが主流なのかと感じました_イギリスでも、それが主流ともいえますが。

あとイギリスに比べてカラーのウェディングフォトが多いですね_我々に比べて良い気候や、四季の彩に恵まれているためでしょう。

11)最後にメッセージを!

自分らしく!

ウェディングフォトは素敵な仕事ですが、あまりにも多くの人がストレスを抱えています。

ストレスを取り除いて仕事を楽しむようにしましょう!


ケヴィン・ムリンズ(Kevin Mullins)というフォトグラファーを知っていますか?

私が初めてケヴィンを知ったのは、今から5年前。

イギリスの写真協会のコンベンションの中で開催された、彼のセミナーに参加した時でした。

コンベンションの開催前に会員へ向けて送られてくるプログラムの中に、セミナー講師の作品として、群を抜いて素晴らしいウェディングフォトが掲載されているのが目に留まりました。

「絶対この人のセミナーを聴きたい!」そう思いながら、ロンドンのコンベンション会場へ(京都から)向かった私。

実際にケヴィンのセミナーに参加してみると、写真だけでなく、人柄や撮影スタイルも、とってもユニークで魅力的でした。

なんといっても、当時、我が日本ではまだ「高級道楽カメラ」としてしか一般的に認識されていなかったXカメラ(*ミラーレス機およびレンズ一体型コンパクトカメラをラインナップする富士フイルム社の上級デジタルカメラシリーズの総称。今年、新たに中判カメラをリリース)で、ウェディングフォトをバリバリ撮影しているという事実に、まさに度肝を抜かれたのでした。

その後、いみじくもケヴィンはフジフイルムの公式Xフォトグラファーとなり、大活躍。

私がニコンと併用して仕事でXカメラを使うようになったのも、ケヴィンがきっかけだと言わざるを得ません(彼が愛用していたx-proには食指が動かなかったのですが「このカメラは絶対ミチに向いてるよ!」と勧められたX-T1を一目で気に入ってしまったのです)。

そんなケヴィンの言葉は、私だけでなく、日本のウェディングフォトグラファー、そして写真好きの皆さんにとっても興味深く、刺激的(そして貴重)な話だと思いますので、当初、私のセミナーの資料としてインタビューしたものを、本人の同意を得てブログに掲載することにしました。

◆最初は2013年、イギリス郊外のマルムズベリー(Malmesbury)にある彼のオフィスを訪ねた時にインタビューしました。それを2017年の今、メールでやりとりしながら新しい情報にアップデートさせました。

◆ケヴィンは、極めて”イギリス的”な考え方をし、”イギリス的”な写真を撮るフォトグラファーですが、決してイギリスの典型的なウェディングフォトグラファーではなく、むしろ異端です。だからこそ、彼の成功が際立っているといえます(年々、イギリスでも彼のフォロワーが増えてはいますが)。
なので「イギリスのフォトグラファーは皆、ケヴィンみたいな感じなんだ」というふうには誤解しないでくださいね^^


Kevin Mullins Photography → OPEN
Kevin Muliins写真展が六本木フジフイルムスクエアで開催中です→ OPEN

<About you>

A. How did you start as a Wedding photographer / What attracted you to this side of the profession?

I started shooting weddings by accident. As a guest at friend’s weddings I just started taking candid shots and my friends loved it. Back in 2008 when we moved out of London I decided to take the plunge and see if I could make a full time career from it. And since then I’ve shot 200 weddings and never looked back.

B. Approximately how many weddings do you shoot each year?

It really depends on a few things; sometimes I take more time off for holidays and family time. The most I have shot in one year is 65 weddings but on average I would say around 40 weddings.
KM2017: Now, I insist on taking all of August off so I can be with my family during the school holidays. Typically this means I shoot around 35 weddings per year.

C. How do people most commonly hear of you? {e.g. recommendation from venues, referrals from previous clients, print advertising, online advertising, internet searches, other}

Almost always via Google and my online footprint (Social Media). I get referrals from past clients too of course.
KM2017: These days, I am getting more referrals from Instagram. For example, six of my weddings this year cited Instagram as where they heard of me. Six doesn’t sound too many, but when you think that six is around 20% of my total bookings for the year it is more impressive.

D. What is your favourite equipment?

*cameras;
My Fujifilm X-Pro1
KM2017: Now it’s a three way tie. I love my X-Pro2 as much as my X100F as much as my X70. Each camera is used slightly differently. My X-Pro2’s are my work horse wedding cameras and my X100F is the camera I use every day (for my own family and travels). The X70 I often use at weddings too but more for Street photography and again it’s a camera that can just slip into my pocket.

*Lenses;
35mm 1.4 and 60mm 2.4 (macro)
KM2017: Easily the new 50mm f2.

*Software;
Photomechanic

*Others;
I love my camera straps by UpStrap in the USA.

E. What do you think the most important thing to be a successful wedding photographer is?
I think it’s really important to remember that the client chose you to be the professional. Don’t ever shoot things you don’t want because you think “that’s how it should be done”. It’s not the case. Define your own style and people will warm to you for that.

F. What is the strongest advantage of being a Wedding photographer for you?

I can spend a lot of time with my family. Not necessarily on the weekend but during the week. I manage my own time totally.

G. What is the most hardship to be as a wedding photographer in the UK?

At the moment there are a lot of photographers who are charging very very low rates just to get the work. This is unsustainable by them and very detrimental to the market. It’s tough economically and the magazines, industry blogs and other photographers to a certain extent are not helping.
KM2017: These days, the UK is also seeing a lot of demands from clients for multiple shooters and for thousands and thousands of images to be supplied. This is a trend that is coming from the USA and whilst it’s OK for some photographers to do this but it has an impact on profit ratios if it’s not charged for accordingly.

H. What is your own ‘individuality’?

I like to think people chose me based on my photography. I shoot a lot of black and white and I am a totally reportage wedding photographer. I don’t do any staged photography and my clients relax 100% on the wedding day without any interference from me..

<About Japanese>

Please refer to Top Wedding Photograph Japan website (*sorry for Japanese language only) http://www.wedding-photograph.com/index.html and then frankly answer the following questions.

I. Are you interested in Japanese wedding photography?

I’ve never seen that website before but with the aid of Google Translate I had a good look around. There are some absolutely beautiful pictures there.

J. Can you feel any differences between British & Japanese?

I can see that the “traditional” elements are captured very well and even in the UK that is the case. I think we seem to shoot more B&W whereas there maybe more colour in your work (partly due to your lovely climate, blossom and colours of course).

K. Any message, please

Follow your instincts! Wedding photography is amazing but too many people get caught up in the stress. Remove the stress and enjoy the job!

Thanks a lot Kevin!